ANSYS LumericalとZemaxの応用例

Ansys Lumerical とZemaxの光・フォトニクス設計およびシミュレーションソフトウェアは、様々な産業分野における多様な光学およびフォトニクス技術の設計、解析、最適化のための汎用的なソリューションを提供します。精密で正確なシミュレーション結果を実現し、設計プロセスを加速させ、フォトニクス分野のイノベーションを推進します。

主な活用分野:

  • データ伝送
  • ライダー
  • 量子コンピュータ
  • PDK (プロセスデザインキット)
  • センサー
  • イメージセンサー
  • AR/VR
  • ディスプレイ
  • 光源
  • 光計測

アプリケーション・ギャラリー

Ansys LumericalとZemaxソフトウェアを使用することで、ユーザーは以下のような幅広いアプリケーションに取り組むことができます。

各カテゴリごとにシミュレーション方法を追加していく予定です。さらに詳しく知りたい方は弊社までお問い合わせください。

ナノフォトニクス

ナノフォトニクスは、約300nmから2000nmの波長帯の光が、サブ波長スケール(ナノスケール)の構造とどのように相互作用するかを調べる研究分野です。このような構造では、フォトンはナノスケール構造内に閉じ込められます。結果として、構造内に閉じ込められた電磁場は、マクスウェル方程式を境界条件で解くことによって決定されます。光を閉じ込める、導く、減速させるといった革新的な構造により、さまざまな光学機能を実現することができます。

ナノフォトニクス

メタマテリアル

フォトニックメタマテリアルは、誘電体基板や半導体基板上に金属元素で構成された周期的な光学ナノ構造です。構造の周期は光の波長よりも短くなっています。誘電応答を半導体製造技術によって制御することができます。光波長での興味深い物理現象が得られるため、科学的にも大変注目されています。

メタマテリアル

光集積回路

光集積回路(PIC)技術は、過去半世紀における半導体集積回路技術と非常によく似た成長を遂げています。半導体チップの設計と同様に部品点数の増加や回路の複雑化に対応するためには、効率的で信頼性の高い自動設計ツールが必要です。これらのツールは、バーチャルプロトタイピング、歩留まりの向上、開発コストの削減、設計サイクルの短縮を可能にします。

光集積回路

CMOSイメージセンサー

CMOSイメージセンサーの画素サイズは今や1ミクロンを切ろうとしています。民生・商業用途として十分な画質、色深度、解像度を実現するため、技術的課題の克服に向けた研究が続けられています。CMOSイメージャーでは、入射する光信号を効率良く取り込み、CMOS製造プロセスで製造された高度な多層構造中を無駄なく伝搬させることが目的となります。サブ波長構造における吸収、散乱、回折、さらにセンサの定常および過渡的な電気挙動を考慮した厳格な光学および電気シミュレーションが必要です。

CMOSイメージセンサー

太陽電池

製造コストや材料投入量削減による太陽電池の効率向上が必須の課題となっています。薄膜太陽電池、有機太陽電池、テクスチャー表面太陽電池といった新しいセル設計コンセプトに焦点を当てた研究がますます盛んに行われています。吸収層で光を効率的に散乱させるプラズモン共鳴を調整した金属ナノ粒子や、望ましくない後方反射を低減させるナノテクスチャー表面反射防止コーティングなど、ナノフォトニック要素を組み込むと太陽電池の性能を劇的に向上させることが期待できます。

シミュレーションは、これらデバイスの挙動を予測するために必要です。設計が複雑になるにつれて、シミュレーションの精度を高めることが難しくなってきます。また、その性能に関する解析解を得ることが難しくなります。実際のデバイスでは、キャリア(電子と正孔)のバルクおよび表面での再結合といった非理想的なプロセスが太陽電池の電気効率を低下させてしまいます。光電変換効率を正確に評価するためには、これらの非理想的プロセスを考慮した光学シミュレーションと電気シミュレーションの組み合わせが必要です。

太陽電池

熱アシスト磁気記録 (HAMR)

知識集約型経済への移行に伴い、保存すべき情報量はますます増加しています。従来のハードディスク技術では記憶容量増加の要求に応えることが難しくなってきています。超高密度記憶媒体を実現するための新しい設計思想の研究が世界的に進められています。
これらの設計コンセプトとして、ホログラフィックメディアのような光ストレージメディア、最先端の光ピックアップ設計による光信号の伝送を含んだ光リード/ライト機能、光信号を利用した熱アシスト磁気記録、あるいは欠陥の特定と修復、故障分析、光メディアの製造と特性評価のための評価方法・処理方法の開発などが採用されています。これらの光学設計、解析、製造、特性評価には高度で柔軟な光学シミュレーションツールが必要です。

熱アシスト磁気記録

OLEDs & LEDs

発光ダイオード(LED)/有機発光ダイオード(OLED)は、自動車用ヘッドランプをはじめ高輝度・長寿命の街路灯など、さまざまな用途に向けて研究されています。より高効率で明るい光源を求めて、研究者達はLED/OLED構造内でナノフォトニクスをいかに利用できるか日々取り組んでいます。金属電極のテクスチャ、活性層内の周期的パターニング、蛾の目フィルムなどのマイクロスケール反射防止層などのナノフォトニクス要素は固体照明の価格性能を向上させ、また、長寿命、小型フォームファクター、入力ワットあたりの高ルーメン出力、および堅牢なパッケージングを実現することができます。

OLEDs & LEDs

非線形材料

有限差分時間領域法(FDTD法)を用いた非線形材料のモデリングは、解決すべき問題が多様であるため困難が伴います。非線形モデルには、瞬間的なχ(2)効果やχ(3)効果のように単純な場合もあれば、分散性や異方性の非線形項が追加されている場合もあります。ある用途に特化した非線形材料モデルを提供することは比較的容易ですが、汎用的なモデルを提供することは一般に困難です。LumericalのFlexible Material Pluginsはユーザーが新しい電気および磁気FDTD材料モデルを開発することを可能にします。ユーザーはC++でFDTDの更新方程式を修正し、任意の非線形性と分散を持つ材料を作成することができます。これらの材料モデルは、プラグインとしてまとめられ材料データベースに追加することができます。

非線形材料

レーザー

Lumerical は、多くの一般的な端面発光レーザーのトポロジーをモデリングするための統合されたツール群を提供します。Lumericalのハイブリッド・モデリング・アプローチは、物理シミュレーションの精度と光集積回路シミュレーションの性能とスケールを組み合わせたものです。

Lumericalツールを使用すれば、SOAやスタンドアロンのFPおよびDFBレーザーから、複雑な外部共振器DBRやリングまたはサンプルグレーティングバーニャレーザーまで、あらゆるものを設計しモデリングすることが可能です。これらのレーザーモデルは、完全なフォトニック回路モデルに組み込むことができ、外部寄生フィードバックによるモードホッピングなど、統合によって生じる複雑な挙動を把握することができます。この組み合わせにより、Lumericalのレーザーシミュレーションツールは、要求の高いInPやシリコンのハイブリッド集積フォトニクスに対して最適な選択肢となります。

レーザー

Photonic Inverse Design

Lumerical Inverse Design (逆解設計)は、フォトニックデバイスやシステムを設計するための新しいアプローチです。複雑な問題に対して、少ない反復回数で最適解を求めることができる強力な最適化アルゴリズムを使用しています。

Lumericalの逆解法設計では試行錯誤や直感に頼った従来の設計手法とは異なり、目的とする性能に最適な形状を自動的に発見することができます。また、製造公差、帯域幅、効率、消費電力など、複数の目的や制約を扱うことも可能です。数値解析的逆解析は、グレーティングカプラー、Y分岐、導波路、スプリッター、フィルター、変調器、レーザーなど、様々な種類のフォトニックデバイスやシステムに適用できます。

数値解析的逆解析は、フォトニクスの技術革新を加速し、新しいアプリケーションを実現するための強力なツールです。

Photonic Inverse Design

その他アプリケーション

その他、グラフェン系デバイス、固体電子デバイス、光磁気カー効果、ファラデー効果など、Lumericalの解析事例は多岐にわたります。

グラフェン