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Lumerical MODEの2.5 次元バリエーショナル FDTD( VarFDTD)ソルバーは、リッジ導波路を用いたシステムからフォトニック結晶のような複雑な形状のものまで、さまざまな導波路構造における光の伝搬を効率的にシミュレートします。このソルバーは、ビーム伝搬法に比べて光学的に大きな部品の性能を正確に予測することができ、最適化された計算エンジンと相まって、平面集積光学部品や回路の仮想プロトタイピングおよび最適化に適したロバストな導波路設計環境となっています。

背景

FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法は、ナノスケールの部品における光の伝搬をシミュレートするための最も汎用的で正確な手法の一つです。しかし、FDTDを 3 次元構造に適用すると、計算量が非常に多くなり大型の集積光学部品を効率的に扱うことが難しくなります。長い距離を伝播する波のシミュレーションにはいくつかの代替手法があります。よく知られている Beam Propagation Method(BPM)は、ゆっくりと変化する包絡線の仮定に基づいており、大きな構造をすばやくシミュレーションできます。ただし、広角での伝搬や屈折率のコントラストが高い部品では精度が低下します。より厳密な固有モード展開法(EME)は双方向の伝搬を扱うのに最適ですが、十分な精度を得るためには多くのモードを必要とするため全方向の伝搬をシミュレートするには非効率的です。 Lumerical MODEのVarFDTDは、従来の伝搬法とは異なり、光軸やデバイスの形状、使用する材料などを一切仮定することなく、平面導波路システムにおける線形および非線形現象を広帯域にモデリングすることができます。平面導波路コンポーネントの場合、VarFDTDは、2D FDTD 法と同等のシミュレーション時間とメモリのみを必要とし、3D FDTD 法に匹敵する精度と汎用性を提供します。固有モードソルバーと双方向固有モード展開(EME)ソルバーとを組み合わせることで、Lumerical MODEは大規模集積光学部品の仮想プロトタイピングに最適なツールとなり、高価で時間のかかる製造試作品の必要性を低減します。

全方位の面内伝搬において、速度と精度の最適なトレードオフを提供するMODE varFDTD

varFDTD ソルバーは、光学的に大きな平面集積光学部品において全方向の光伝搬をシミュレートするのに最適です。この手法では、図1に示すように、垂直導波路構造を材料分散と導波路分散を同時に考慮した実効的な分散材料に変換することで、3次元の問題を実質的な 2 次元の問題に還元します。

垂直スラブモード
図1:垂直スラブモードは3次元の平面形状を2次元の実効的な分散材料のセットに落とし込むために用いられます

現在、varFDTDソルバーで3次元形状を落とし込むには2つのアプローチがあります。

  1. Hammer and Ivanova [1]に基づく変形手順
  2. 相反定理に基づく手順(Snyder and Love [2]に記載)

いずれの場合も、垂直導波路構造でサポートされる異なるスラブモード間のカップリングを無視できることが重要な前提となります。SOIベースのスラブ導波路構造のように、偏波の異なる 2つの垂直モードしかサポートしていない多くのデバイスでは、これは非常に良い仮定となります。このような場合、VarFDTDは2次元FDTDシミュレーションと同等のシミュレーション時間とメモリで3次元FDTDと同等の結果を得ることができます。これにより設計者は多くの設計パラメータを効率的に繰り返し検討することができ、また3D FDTDでは大きすぎて処理できない部品をシミュレートすることも可能になります。

リング共振器の例:3Dの精度を2Dの計算速度で

ここでは、シンプルなリング共振器を使ってLumerical MODEのVarFDTD ソルバーの動作をデモンストレーションします。

リング共振器
図2: 4ポートのリング共振器

Lumerical MODEは、3D形状を実効的な材料の2Dセットへと自動的に落とし込みます。生成された実効的な材料も分散性をもちます。分散は元の材料の特性とスラブ導波路の形状の両方に由来することに注意してください。その後、生成された材料はANSYS社独自の Multi- Coefficient Materials モデルを用いて、FDTDアルゴリズムによるシミュレーションに適した形にフィットされます。

垂直スラブのモードプロファイル
図3: (左)導波路分散は垂直スラブのモードプロファイルに見られます(垂直方向の寸法z と波長の関数として示されています) (右)生成された実効的な材料にはスラブ導波路の形状による導波路分散とシリコンの材料分散の両方が含まれています

実質的な2Dの材料が生成されると、Ansys社の最適化された計算アクセレーターを使用して2D FDTDシミュレーションを進めることができます。これにより、マルチコアのプロセッサやマルチノードのハイパフォーマンスコンピューティングシステム上での並列計算が可能になります。

実効的2D材料を用いた 2DFDTD シミュレーション
図4: 実効的2D材料を用いた 2DFDTD シミュレーションでは時間領域における1 回のシミュレーションで広帯域の応答が得られます

内蔵された固有モード展開モニターを用いると、任意の導波路モードへの高分解かつ高精度な広帯域透過データが一度のシミュレーションで得られます。スルーポート位置の基本モードへと伝送された信号を図5に示します。表1に示されるように、
VarFDTDは 3D FDTDの結果と非常によく一致し、100倍高速であることがわかります。また、図5では2D FDTD(ここでの屈折率は単に垂直スラブモードの実効屈折率になります)と 3D FDTDを比較していますが、その一致は不十分であることがわかります。特に、このようなシミュレーションで通常抽出される重要な量である帯域幅とFSR(フリースペクトルレンジ)は、VarFDTD では非常に正確に計算されますが、標準的な 2D FDTDではそうはなりません。VarFDTD、2D FDTD、および3D FDTDの比較を容易にするため、図 5 の両方の図では、VarFDTD および 2D FDTD の透過スペクトルの中央ピークが 3D FDTD の結果と一致するようにシフトされています。現実にはこのピークの正確な位置調整は熱的なチューニングによって実現できます。

VarFDTD シミュレーションと 3D FDTD シミュレーションで得られたスルーポート
図 5:(左) VarFDTD シミュレーションと 3D FDTD シミュレーションで得られたスルーポートにおける基本モードへの透過率 (右)標準的な2次元FDTD近似と3次元FDTDから得られた結果を示したグラフ
シミュレーション・タイプメモリ2010 年モデルの Intel Core i7 マシンでの処理時間
2D FDTD15MB約12秒
2.5D FDTD18MB約15秒
3D FDTD338MB約150 秒
表1 :リング共振器の例で必要なシミュレーション時間とメモリのまとめ。この場合、2D FDTD および VarFDTD は3D FDTD の約 100 倍の速度で実行されます

VarFDTD ソルバーで得られる計算の精度と速度に基づけば、Lumerical MODEを用いるとリング共振器の最適化を大きく前進させることができます。またリング共振器やその他のシリコンフォトニックデバイスのシミュレーションでは、通常、より大きなシミュレーション領域と長いシミュレーション時間が必要となるため、VarFDTD ソルバーはこのレベルの複雑さの設計を最適化するのに非常に重要な役割を果たします。

幅広いアプリケーションに対応できる汎用性をもつvarFDTD

平面テーパー:

VarFDTDソルバーを用いると、広いテーパーが有する複数のモードへの広帯域伝送を正確に決定することが簡単にできます。垂直構造を実効的なスラブへと落としこむ方法はテーパーのような広い領域では完全にうまく機能するため、導波路スラブ内の光の伝搬に対する近似は行われず、このバリエーショナルFDTD処理で3D FDTDに非常に近い結果を得ること
ができます。

SOI導波路テーパーのVarFDTDシミュレーション
図6: SOI導波路テーパーのVarFDTDシミュレーション。テーパーの形状はw(x)=[α(L-x)
]^m+w_2 でパラメータ化し,Lumerical MODEに搭載されている最適化フレームワークを用いて最適化されています。
偶数TE モードへの透過率
図7:波長 1550nmにおける導波路2の最初の5つの偶数TE モードへの透過率を示しています。

アレイ型導波路グレーティング(AWG):

AWG は光ネットワークにおける高密度な波長分割多重化に不可欠なデバイスです。これらデバイスのサイズと複雑さおよび位相誤差に対する感度は、多くの伝搬法にとってAWGを(計算)困難なものにする可能性があります。Lumerical MODEの VarFDTD ソルバーを使えば、1 回のシミュレーションで正確な広帯域の結果を得ることができます。

 VarFDTDソルバーを使用してシミュレートした AWGの出力スターカプラで、波長に依存した分波の様子が見られます
図8: VarFDTDソルバーを使用してシミュレートした AWGの出力スターカプラで、波長に依存した分波の様子が見られます。これらの結果はすべて時間領域での1回のシミュレーションから得られたものです。

非線形導波路:

導波路の非線形効果をシミュレートするには、長いシミュレーション時間と伝搬距離が必要になることがよくあります。VarFDTDソルバーとLumerical MODEが提供するflexible material pluginsとを組み合わせることで、線形効果と非線形効果の相互作用を正確に捉えながら、長距離の波動伝播を効率的にシミュレートすることができます。Flexible material pluginsはオープンなフレームワークで構築されています。そしてエンドユーザーは独自のニーズに合わせたモデルをネイティブの C/C++/FORTRAN で書く動的リンクライブラリ・プラグインとして開発することができます。これらのプラグインは、多係数材料モデルと組み合わせて使用することで、図9に示すような複雑な非線形材料をシミュレートすることができます。

非線形リング共振器における4光波混合(FWM)
図9: 非線形リング共振器における4光波混合(FWM)の 2.5 次元 FDTD シミュレーション(左)スルーとドロップの出力 (右)ポンプ光、信号光、変換光を示すスペクトル

結論

Lumerical MODEの VarFDTD ソルバーは、導波路部品における広帯域/全方向光伝搬をシミュレートするための汎用ソルバーです。異なるスラブモード間の結合が無視できる平面形状の場合、VarFDTD は2D FDTDのシミュレーション時間とメモリのみで、3D FDTD に匹敵する結果を得ることができます。Lumerical MODEの固有モードソルバーおよび双方向固有モード展開(EME)ソルバーを組み合わせることで、Lumerical MODEは大規模集積光学部品の仮想プロトタイピングに最適なツールとなり、高価で時間のかかる製造試作品の必要性を低減します。

参考文献

[1] Manfred Hammer and Olena V. Ivanova, MESA Institute for Nanotechnology, University of Twente, Enschede, The Netherlands “Effective index approximation of photonic crystal slabs: a 2-to-1-D assessment”, Optical and Quantum Electronics ,Volume 41, Number 4, 267-283, DOI: 10.1007/s11082-009-9349-3.
[2] Allan W. Snyder and John D. Love, Optical Waveguide Theory. Chapman & Hall, London, England, 1983.

FDTD のシミュレーションを設定して実行する際に,不正確であると思われる予期しない結果が得られるのは,珍しいことではありません。これらの予期しない結果は,物理的にあり得ないものや (伝送結果が 1 より大きいなど),他のソース (論文や他のシミュレーションなど) の結果と異なることがあります。これは,シミュレーションの設定において,誤りがあることを示している可能性があります。

不正確な結果を引き起こす要因は数多く考えられ,また,これらの問題は発生するたびに同じ結果をもたらすとは限りません。これは,シミュレーションのトラブルシューティングに関しては,問題を一元的に扱うのは難しいことを意味します。しかし,ここでは FDTD によるシミュレーションにおいて不正確な結果やエラーが得られたさいに,その原因を特定するために役立つと思われるヒントや戦略をいくつか紹介します。

FDTD によるシミュレーションにおいて問題が発生した場合は,次の手順がエラーの原因を特定するために役立つことがあります。

重要な設定の確認:

Key Lumerical FDTD setting (FDTD の重要な設定) において説明されているシミュレーションの設定が正しいことを確認してください。ここでは,Lumerical FDTD によるシミュレーションにおいて,もっとも重要となる設定が説明されています。たとえば,メッシュ,シミュレーションの時間,およびシミュレーションの領域など,多くの場合において,Lumerical FDTD によるシミュレーションでエラーの原因となることが説明されています。

オンラインリソース検索:

シミュレーションのトラブルシューティングに役立つさまざまなオンラインのリソースがあります。たとえば,Ansys Learning Forum (ALF) には,トラブルシューティングに関するカスタマサポートの事例が掲載されています。ほかのユーザがあなたと同じような問題に遭遇した可能性が高いので,シミュレーションにおいて問題が発生した場合は,ALF で同様の問題を検索することをお勧めします。Application Gallery (アプリケーションギャラリー) には,多くのシミュレーションの事例や,さまざまなタイプのシミュレーションへのアプローチが説明されています。これらの事例には,特定のタイプのシミュレーションを適切に設定するヒントが含まれています。

シミュレーションの単純化:

FDTD のシミュレーションを始めるときは,ソースおよびモニタに加えて,シンプルな構造から始めることをお勧めします。このシンプルな構造のシミュレーションの結果が正確であれば,それぞれのステップにおいて設定が正しいことを確認しながら,シミュレーションの複雑さを徐々に増やしていくことができます。同様のアプローチは,トラブルシューティングにも有効です。完全なシミュレーションで不正確な結果が得られた場合は,シミュレーションの複雑さを段階的に下げることによって,シミュレーションやジオメトリのどの部分でエラーが発生しているかを特定することができます。たとえば,以下のようになります。

  • 完全な 3Dでの FDTD シミュレーションへ拡張する前に,2D でのシミュレーションで構造を近似することから始めます。2D でのシミュレーションは実行速度が速いため,シミュレーションの開発に要する時間を短縮することができます。
  • 広帯域のシミュレーションへ移行する前に,非分散材料を用いて,単一波長でのシミュレーションから始めてください。
  • パターン化された基板からの透過/反射を測定する場合は,まずパターン化されていない基板のシミュレーションを行い,FDTD の結果と stackrt コマンドによる結果を比較してください。

モニタでのフィールドの表示:

Movie (ムービ) または DFT モニタを使用して,シミュレーションのフィールドを表示することができます。これは,エラーが発生した場所を特定することに役立ちます。たとえば,これらのモニタを使用して,発散するシミュレーションにおいてフィールドが発散している場所を特定したり,ソースが入力パルスを適切に注入しているかを判断することができます。

帯域の制限:

FDTD では広帯域のシミュレーションの結果を得ることができますが,ある状況においては,広い帯域でのシミュレーションは機能しないことがあります。たとえば,good material fit (材料の適合性) を見極めるのが困難であったり,PML 境界において,すべての波長が適切に吸収されなかったり,また,ソースが適切に光を注入しないことがあります (最後の点については,multifrequency injection (周波数射出) を使用することで改善できることがあります) 。このような理由から,帯域には結果が計算できる波長のみを含める必要があります。広い帯域 (光学シミュレーションにおいては,数百ナノメートルを超える場合) を使用する場合は,帯域を分割して,複数のシミュレーションを実行することで,問題を解決できることがあります。

ソースのフィールドプロファイルの確認:

ソースフィールドが不適切に計算されたり,ソースオブジェクトのエッジによって切り捨てられるのは,よくあることです。FDTD のシミュレーションを実行する前に,ソースのフィールドプロファイルを再確認することをお勧めします。そのさいに,ソースのエッジでモードフィールドの振幅がゼロに近い値(約 10^-3)になるように,ソースのスパンが十分に大きいことを確認してください。また,偏光面が正しいことを確認するために,ソースの電界プロファイルにおいて,それぞれの成分の確認が役立つことがあります。たとえば,下記のモードソースのスパンは小さすぎて,モードフィールド全体を含めることができていません。

コンバージェンステスト (収束試験):

設定がほぼ正しいと思われる場合は,convergence testing 4 (収束試験) を行い,シミュレーションの設定を確定し,結果が正確であることを確認する必要があります。これは,公開されている論文や別のシミュレーションなどの別のソースからのデータおよび結果を比較する場合に,特に重要なステップになります。

この記事では、FDTD シミュレーションにおいて、見落としがちな設定や不適切な設定についてご紹介します。まず、シミュレーションを設定する際に参照することができるチェックリストを提供します。その後、チェックリストの各ポイントについて、より詳細な説明を行います。

Lumerical FDTD 設定の主なチェック項目

  • メッシュサイズ: メッシュのオーバーライド領域とインデックスモニターを使用して、小さなフィーチャが確実に解決されるようにします。
  • メッシュの順序: インデックスモニターを使用して、ジオメトリオブジェクトのメッシュの順序が正しいことを確認します。
  • マテリアルのフィット: マテリアルエクスプローラーを使用して、データに対するマテリアルの適合性を確認します。
  • シミュレーション時間: オート シャット オフのしきい値に達する前にシミュレーションが終了してしまう場合は、シミュレーション時間を長くしてください。
  • シミュレーションスパン: ジオメトリと PML の境界線の間に半波長分のスペースができるまで、シミュレーションスパンを大きくします (ジオメトリが境界線を通過する場合を除く) 。
  • 境界条件: 境界条件の選択と境界条件の設定が正しいかどうかを確認します。
  • ソーススパン: ビーム/モードソースのスパンが十分に大きく、入力フィールドが切り取られていないことを確認します。DFT やムービーモニターを使用して、ソースが正しく機能しているのを確認することができます。

メッシュサイズ

FDTD アルゴリズムの精度を決定する重要なパラメータは、波長あたりのメッシュセル数です。Lumerical FDTDにおいてデフォルトの 「auto-nonuniform mesh (自動不均一メッシュ) 」 では、セルの数が 「mesh accuracy (メッシュ精度)」 の設定によって, 波長ごとに一定数のセルを持つメッシュが自動的に生成されます。

初期のシミュレーションでは、メッシュをあまり細かくする必要はないので、メッシュ精度は 2 または 3 で十分です。しかし、初期のシミュレーションでも、メッシュ オーバーライド オブジェクトを使用して、シミュレーション領域の特定のエリアでメッシュを精緻化する必要がある場合があります。メッシュオーバーライドが必要となる領域には、デフォルトのメッシュでは十分に解決できない微細な特徴を持つデバイス形状 (薄い層など) や、電界が急激に変化する金属と誘電体の界面などがあります。直線的なジオメトリの場合は、メッシュオーバーライドを使用して、メッシュセルがジオメトリとオーバーラップするようにするのが最適です。 例えば、下の画像は薄い層のイメージで、最初はデフォルトのメッシュで、次にメッシュのオーバーライド領域で、Y 方向に薄い層と完全に重なる 4 つのメッシュセルがあることを保証する「dy」設定をしています。

デフォルトのメッシュ:

Lumerical FDTD メッシュ

メッシュオーバーライドあり:

インデックスモニターは、シミュレーションを実行する前にメッシュを表示し、すべてのフィーチャが解決されていることを確認するために使用することができます。また、ビューポートの左にあるツールバーの「View simulation  mesh」ボタンをクリックして、メッシュグリッドを表示させることもできます。

最初のシミュレーションを実行した後にコンバージェンス・テストを行うことで、正確な結果を得るために必要なメッシュ設定を決定することができます。

メッシュオーダー

ジオメトリのオブジェクトが重なっている場合、どのオブジェクトのインデックスを使用するかは、そのメッシュの順番で決定されます。オブジェクトが重なっている場合は、低いメッシュオーダーが優先されます。インデックスモニターを使用して、正しいインデックスがメッシュで使用されているかどうかを確認する必要があります。

詳細はこちら Mesh Order (メッシュオーダー)

マテリアルフィット

テリアルエクスプローラーで、シミュレーションの対象となるすべてのマテリアルのフィットを確認します。フィットはデータポイントに近く、フィットにゲインや鋭いピークがないことが必要です。

詳細はこちら: Modifiying the Material Fits (マテリアルフィット)

シミュレーション時間

FDTD シミュレーションは、シミュレーション時間の終了、自動シャットオフのしきい値への到達 (フィールドが十分に減衰したことを意味します) 、およびフィールドの発散という 3つの条件によって終了します。シミュレーションを実行した後、FDTD 領域オブジェクトの 「status」の結果をチェックして、シミュレーションの終了を確認するか、ログファイルを確認することができます。

ステータス =

  • 0: レイアウトモードでのシミュレーション
  • 1: 最大のシミュレーション時間に達したため終了
  • 2: 自動シャットオフの基準に達したため早期終了
  • 3: シミュレーションの発散

一般的には、オートシャットオフのしきい値でシミュレーションを終了させるのがベストです。シミュレーション時間を過ぎてシミュレーションを終了すると、周波数ドメインの結果に誤差が生じることがあります。シミュレーション時間に達してシミュレーションが終了する場合は、シミュレーション時間を長くしてください。共振構造がある場合や伝搬距離が長い場合には、シミュレーション時間を長くする必要があることがあります。

詳細はこちら: Auto Shutoff Level Criteria (オートシャットオフのレベル判定)

シミュレーションスパン

FDTD 領域のスパンは、シミュレーションの対象となるジオメトリオブジェクトの側面からPML 境界が半波長離れるように設定する必要があります。ここでいう 「波長」 とは、オブジェクトおよび境界の間にある材料の屈折率を考慮した上で、光源のスペクトルの中で最も長い波長を指します。ただし、基板やクラッドなど、シミュレーション領域からはみ出すことが想定されるオブジェクト (入出力導波路の端部など) は例外です。例えば、Z 方向に単純に伸びる直線導波路のシミュレーションが、これに相当します。

XY 断面

  • 基板は、Xmax/min および Ymin の境界線を越えています。
  • X max/min と Y max のPML 境界は、導波路の側面から半波長以上離れています。
シミュレーションスパン

XZ 断面

  • 導波路の両端は、Zmax/min の境界を通過しています。
FDTD Zmax/min の境界

境界条件

PML 境界を使用する場合、デフォルトでは “standard” PML プロファイルを使用してください。周期的なシミュレーションや、大きな角度で光が伝播するシミュレーションでは、”steep angle “ プロファイルを使用してください。”stabilized” プロファイルは、発散の問題がある場合にのみ使用してください。

構造とソースが周期的である場合、垂直入射のソースには “Periodic” 境界を、角度のついたナローバンドのソースには “Bloch” 境界を、また角度のついたブロードバンドのソースには “BFAST” 境界を,それぞれ使用してください。 symmetry (シンメトリー) 境界を使用する場合は、ジオメトリおよびソースの両方が対称であることを確認してください。対称か反対称かの選択は、ソースの偏光によります。目安として、ソースの偏光を示す矢印は、同じ色の境界に平行で、異なる色の境界に垂直になるようにします。

詳細はこちらをご覧ください: PML boundaries (PML 境界)、Symmetry boundaries (対称性のある境界)、Periodic boundaries (周期性のある境界)

ソーススパン

よくある間違いは、入射したフィールドのスパンよりもソースのスパンを小さく設定することです。これは、ガウシアンソースやモードソースで特によく見られます。このようにソースを切り詰めると、散乱やその他の入射エラーの原因となります。ソースフィールドがソーススパンの端で十分に減衰していること (10^-3 から-10^-4 の振幅) を、視覚的に確認する必要があります。これには、ログスケールを使用すると便利です。 また、DFT モニターやムービーモニターを設置することで、ソースが適切に入射されているかを判断することができます。DFT モニターの結果について,上の画像は注入されたフィールドに対してソースのスパンが狭すぎることを,また下の画像は注入されたフィールドに対してソースのスパンが適切であることを,それぞれ示しています。不適切なスパンの画像では、光源の後ろと横に散乱光があることに注意してください。

ソースのスパンが狭い:

ソースのスパンが適切:

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ニュース

  • 開催予定セミナーのスケジュール (詳細)
  • 2025年4月23日(水)-25日(金): OPIE’25(OPTICS PHOTONICS International Exhibition 2025)に出展(ブースC-11)
  • 2024年7月17日(水)-18日(木): OPK2024(光・レーザー関西2024)に出展
  • 2024年4月24日(水)-26日(金): OPIE’24(OPTICS PHOTONICS International Exhibition 2024)に出展
  • 2024年4月15日(月)-18日(木): IEEE Silicon Photonics Conference 2024に協賛・出展
  • 2024年3月:Ansys Lumerical 2024R1.1リリース(詳細
  • 2023年9月 :Ansys Lumerical 2023R2リリース (詳細)
  • 2023年9月19日(火)~2023年9月22日(金) :第84回応用物理学会秋季学術講演会JSAP EXPO Autumn 2023展示会(ブースM-19)
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