Ansys Lumerical 2026 R1.2 リリースのお知らせ
Ansys Lumerical 2026 R1.2 がリリースされました。
本リリースでは、Synopsys製品との連携強化、逆設計モジュール「lumopt2」の追加、GPU FDTDの機能拡張、Sentaurus TCADとのワークフロー改善、Lumerical INTERCONNECTおよびCML Compilerの機能強化など、フォトニクス設計環境をさらに高度化するアップデートが含まれています。
Synopsys製品とのワークフロー連携強化
2026 R1.2では、Synopsys OptoCompiler™とAnsys Lumericalの連携がさらに強化されました。
OptoCompilerとINTERCONNECTを組み合わせたPIC設計フローでは、FDTDシミュレーションおよびポート設定の自動構成がサポートされました。これにより、接続ワークフローにおける手動設定の負担を軽減し、より効率的にシミュレーション環境を構築できます。
また、OptoCompiler上でINTERCONNECTをエンジンとして使用する際、PrimeWaveの設定ダイアログからOptical Network Analyzer、ONA、解析を利用できるようになりました。これにより、OptoCompiler環境内でINTERCONNECTを用いた周波数解析を実行しやすくなります。
Sentaurus TCADとLumericalの連携改善
Sentaurus TCADとLumericalのワークフローでは、NP密度およびドーピングプロファイルの取り込みが新たにサポートされました。
Lumerical FDTD、MODE、Multiphysicsで利用できる新しいスクリプトコマンド「tdrimportdataset」により、NP密度データやドーピングプロファイルデータをインポートできるようになりました。既存の「tdraddregion」コマンドと組み合わせることで、変調器、フォトディテクタ、その他のフォトニックデバイスに対する、より包括的なシミュレーションワークフローを構築できます。
具体的には、Sentaurus TCADから得られるNP密度データをLumerical FDTDおよびMODEへ取り込むことが可能になりました。また、Lumerical Multiphysicsでは、ドーピングプロファイルデータをCHARGEソルバーへインポートできるようになり、TCADとLumericalを組み合わせた電気・光学解析の自由度が高まっています。
Ansys Lumerical FDTDの主な新機能
新しい逆設計モジュール「lumopt2」
2026 R1.2では、新しい逆設計モジュール「lumopt2」が追加されました。
lumopt2は、従来のlumoptを現代的なPython APIとして再設計したモジュールで、柔軟性、使いやすさ、計算効率、拡張性の向上を目的としています。
PyLumericalをpipでインストールした後、対応するAnsys Lumericalがインストールされていれば、ユーザー自身のPython仮想環境や任意のIDEからlumopt2を直接利用できます。
また、最適化セットアップをより少ないコードで記述できるスクリプトインターフェースが提供され、最適化を実行する前に設定を確認し、問題を早期に検出するためのツールも用意されています。
任意のLumericalオブジェクトプロパティを最適化パラメータへマッピングできるクラスや、PIC設計における閉曲線のパラメータ化に適した専用クラスも含まれています。さらに、Pythonのautogradライブラリを用いて、ポートオブジェクトのモード結合効率やフィールド領域オブジェクトの電界強度を組み合わせたカスタム評価関数を作成できます。
FDTDポート機能の改善
FDTDポートでは、空間補間設定が利用できるようになりました。これにより、各ポートのモニターがフィールド値をどのように補間するかを指定できます。
また、曲げ導波路にポートオブジェクトを使用する場合、結果の精度を示す「bent wg validity factor」が返されるようになりました。高精度な結果を得るためには、この値が十分に小さいことを確認する必要があります。
GPU FDTDの機能拡張
GPU FDTDでは、インポートされた温度分布を用いた温度依存材料がサポートされました。これにより、熱データをFDTDへ取り込み、温度に依存する屈折率変化を考慮したGPUワークフローを構築できます。フォトニクスデバイスやコパッケージドオプティクスの解析において、有用な機能強化です。
さらに、GPU FDTDでは、構造が変化しない繰り返しシミュレーションにおいて、既存のメッシュおよび材料データを再利用できるようになりました。たとえば、ダイポール位置など光源位置のみを変更するスイープ解析において、毎回メッシュを再生成する必要がなくなり、計算オーバーヘッドを削減できます。
Ansys Cloud Burst Computeの機能追加
Ansys Cloud Burst Compute™ for Lumericalでは、クラウド上でのシミュレーション完了後に、単一ジョブに対してpost-solve analysis scriptを実行できるようになりました。
これにより、シミュレーション後の二次処理をクラウド上で実行し、必要な解析結果のみを返すワークフローが可能になります。大容量のシミュレーションファイル全体を転送せず、重要な結果だけを取得したい場合に有効です。
この機能は、ジョブ送信GUIおよびrunスクリプトコマンドの両方から利用できます。
3D CAD Modern Viewportの改善
FDTDの3D Modern Viewportでは、ズームや境界条件表示に関するグリフ表示が改善されました。ズームレベルに依存せず一貫して読みやすい表示が維持され、対称・反対称境界条件のインジケーターも視認しやすくなっています。
また、クリッピングプレーンおよび関連する可視化ツールの操作性も改善されました。Simulation MeshやRuler表示との連携、プリセットの追加、ナビゲーションキューブで視点が固定されている場合の挙動、3D領域可視化の表示挙動などが調整されています。
RCWAソルバー関連のアップデート
Lumerical FDTDおよびMODEでは、新しいZemax ZBF v2コヒーレントビームファイル形式のインポートに対応しました。新しいスクリプトコマンド「zbf2read」および「zbf2write」が追加されています。
ZBF v2形式では、従来形式で省略されていたEz成分を含むEx、Ey、Ezの完全なフィールド情報を扱うことができます。Zemax由来の.zbf2ファイルでは、Zemaxが提供するExおよびEyに基づいて、Lumerical側でEz成分を復元します。
Ansys Lumerical Multiphysicsの主な新機能
Lumerical Multiphysicsでは、MQW、CHARGE、VCSEL Design ToolにおけるMQWレイヤーテーブルが改善されました。
半導体材料を使用する場合、スタンドアロンMQWソルバー、CHARGE/MQW連成モード、VCSELソルバー連成モードにおいて、内部計算されたMQW歪み値が、シミュレーション実行前にUI上のレイヤーテーブルへ表示されるようになりました。
合金材料の場合は、シミュレーション後にCHARGEオブジェクト内の新しいrectilinear result dataset「mqw_strain」として歪み値が出力されます。
また、すべての材料に対して、シミュレーション後にMQWオブジェクトの「strain」またはCHARGEオブジェクトの「mqw_strain」として新しい結果データセットが出力されるようになりました。
CHARGE/MQW連成モードおよびVCSEL連成モードでは、set、get、setnamed、getnamedなどのスクリプトコマンドが、CHARGEオブジェクト内の編集可能なMQWレイヤーテーブル項目に対応しました。
さらに、合金材料に対するMQWレイヤーテーブルの自動パーティショニングもサポートされ、手動でパーティショニングテーブルを上書きする必要が少なくなりました。ツールチップやエラーメッセージも改善され、設定時の分かりやすさが向上しています。
Ansys Lumerical INTERCONNECTの主な新機能
INTERCONNECTでは、インポートされた要素に含まれる未接続の電気ポートを一括でグラウンド接続する新しいスクリプトコマンド「gnddisconnectedelectricalports」が追加されました。
この機能により、未接続の電気入力信号をデフォルトでゼロに設定できるため、ネットリストから作成された大規模回路において、すべての電気ポートを手動接続する手間を削減できます。
また、IBIS-AMIモデルでは、対応するLinuxプラットフォーム上でIBIS-AMI CMLモデルがサポートされました。Linux実装はWindowsと同じワークフローに従い、生成されたモデルファイルは、学習に使用したプラットフォームに関係なくWindowsとLinuxの両方で利用できます。
DM Laser要素では、「total quantum efficiency」オプションが、モデル内での意味をより適切に表す「Optical efficiency」へ名称変更されました。さらに、全注入電流のうちアクティブ領域へ注入される割合を指定する「current injection efficiency」オプションが追加されました。この2つの効率の積により、全体の微分量子効率が定義されます。
Ansys Lumerical CML Compilerの主な新機能
CML Compilerでは、新たにnominal variable optical attenuatorテンプレートが追加されました。既存のstatistical variable optical attenuatorテンプレートを補完する機能として、コンパクトモデルライブラリ作成の選択肢が広がります。
また、Verilog-Aモデル生成時のパッケージングも改善されました。モデルとプリミティブが分離して生成されるようになり、モデルのみが必要なワークフローにおいて、より扱いやすくなっています。
さらに、手動でCDF要素を設定する際に必要となる、カスタムVerilog-A要素情報を含むCDF reference JSONファイルが、すべてのVerilog-Aビルドで生成されるようになりました。
まとめ
Ansys Lumerical 2026 R1.2は、逆設計、GPU FDTD、TCAD連携、PIC回路シミュレーション、マルチフィジックス解析、コンパクトモデル生成まで、フォトニクス設計ワークフロー全体を強化するリリースです。
特に、lumopt2によるPythonベースの逆設計環境、GPU FDTDにおける温度依存材料とメッシュ再利用、Sentaurus TCADとのデータ連携、INTERCONNECTの大規模回路対応、CML CompilerのVerilog-Aモデル生成改善は、研究開発から量産設計に向けた高度なフォトニクス設計において有用なアップデートです。
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