概要
機構を含む製品全体で、光の振る舞いを解く
光学部品・照明システム・センサを設計し、妥当性を確認するための光シミュレーションツールです。レンズや材料、周囲の環境と光がどう相互作用するかを物理ベースで解き、試作の前に照度・視認性・画質・グレアを予測します。
解析はCADアセンブリのなかで行います。光学素子単体ではなく、鏡筒や筐体、内装や外装を含めた形状に対して評価するため、部品を組み上げてはじめて現れる漏れ光や反射も対象になります。
照明シミュレーションの精度については、国際照明委員会(CIE)によりCIE 171:2006のテストケースに対する評価が行われています。
Ansys Speos の利点
製品全体で光学性能を評価
01
実測材料データ・BRDF / BTDF / BSDF
実測した光学特性を用いて、複雑な表面やコーティングにおける散乱・反射・透過を再現します。BRDF/BTDF/BSDFのデータをそのまま扱えます。
02
センサーとヒューマンビジョン
カメラの結像パイプラインと人間の視覚を物理ベースでモデル化し、センサーと人がそれぞれ何を受け取るかを評価します。HDR10ディスプレイでの1:1輝度レンダリングにも対応します。
03
CAD統合とマルチフィジックス連携
CADアセンブリをそのまま解析対象とします。構造解析・熱解析はAnsysの各ソルバーが担い、Speosはその結果を受け取って、変形や温度変化が光学性能に与える影響を評価します。構造や熱そのものをSpeosが解くわけではありません。
使いどころ
他のツールとの使い分け
Ansys Speos と Zemax OpticStudio は担当する領域が異なります。以下は使い分けの目安です。
Ansys Speos を使う
- 機構部品や筐体を含めた製品全体で、配光や迷光をノンシーケンシャル光線追跡で評価する
- ヘッドランプやHUDを、規格と実環境の両面で確認する
- カメラやLiDARが実際に何を受け取るかを評価する
- 人にどう見えるかを輝度とグレアの観点で確認する
- 配光の要求を満たす反射面・ライトガイド・レンズを設計する
- 実測した材料の光学特性を反映して評価する
組み合わせて使うツール
- レンズ・結像光学系の詳細設計、収差・MTF・公差解析と結像性能の最適化 → Zemax OpticStudio
- 波長スケールの構造を電磁界で解く → Ansys Lumerical
- メタレンズの位相設計からレイアウト生成まで扱う → Photonica
Zemax OpticStudio と Ansys Speos の担当領域。結像光学系の設計と最適化と、製品全体での照明・視認性・センサ評価は、それぞれ別の工程です。
用途
どの分野で使われているか
車載照明・HUD
ヘッドランプの配光と、ヘッドアップディスプレイの見え方を評価します。歪み・鮮鋭度・ゴースト・視差といった画質の指標を扱えます。
入力と出力
何を与えると、何が得られるか
CADアセンブリと、光源・材料・センサーの定義に対して、照度・輝度分布やセンサーの生信号が返ります。
INPUT
何を用意すればよいか
| 三次元形状 | CADアセンブリ。光学素子に加えて鏡筒や筐体、周囲の機構部品 |
| 光源 | 実測レイファイル、面光源、ディスプレイ光源、CIE標準空などの環境光 |
| 材料・表面特性 | 実測した光学特性、BRDF/BTDF/BSDF、コーティング |
| センサー定義 | 照度・輝度・強度、カメラ、LiDAR、ヒューマンアイ |
Ansys Speos
ノンシーケンシャル光線追跡
OUTPUT
何が得られるか
| 照度・輝度分布 | 検出面上の測光量と色度 |
| 配光 | 強度分布と、規格に対する適合の確認 |
| 迷光 | 経路の検出による迷光の特定 |
| センサー画像 | カメラの生信号と、LiDARの生の飛行時間(ToF)信号 |
| 見え方 | 人間の視覚に基づくレンダリングとグレアの評価 |
関連機能
照明・HUD・センサ評価に関わる機能
Speosでは次のような機能を扱えます。ご利用いただける範囲は環境やバージョンによって異なります。
HUD Design & Analysis
車載ヘッドアップディスプレイの結像系を設計し、画質を規格や仕様に対して評価します。歪み・鮮鋭度・ゴースト・視差を扱います。
Optical Sensor Test
走行環境でのカメラとLiDARの生信号を評価し、電子処理を適用したうえで、車両上のセンサー配置を検討します。
Speos HPC
計算資源を追加して計算時間を短縮します。オンプレミスのクラスタと、クラウド上のクラスタ利用の両方が提供されています。
Speos Labs
測定機器から取り込んだ光学特性を編集し、あるいはLabsのエディタで新規に作成して、光学3Dモックアップに反映します。
ご利用条件は環境やバージョンによって異なります。詳細はお問い合わせください。
よくあるご質問
Ansys Speos についてよくいただく質問
導入前によくいただく質問をまとめました。
Zemax OpticStudioの設計データはそのまま使えますか。
Optical Design Exchange(ODX)により、OpticStudioで作成した対応する光学設計をSpeosへ取り込めます。形状、光学特性、像面情報などが受け渡されます。OpticStudio側でコーティングが指定されていない面には、Optical Polishedの面特性が適用されます。
どのCADに対応していますか。
Siemens NXとPTC Creo Parametricには、CADの内部で動作するアドインが提供されています。ジオメトリ更新にはDassault CATIA V5、Creo Parametric、Siemens NX、Dassault SolidWorksが対応します。単体版ではCATIA、STEP、IGES、STLなどを読み込めます。
Ansys Lumericalの解析結果を反映できますか。
LSWMプラグインを使います。コーティングはSTACK、回折格子とメタレンズのユニットセルはFDTDまたはRCWAで解き、その結果をデータファイルとしてSpeosの面特性に読み込みます。受け渡しは一方向で、双方向の連成ではありません。
照明シミュレーションの精度はどう確認されていますか。
国際照明委員会(CIE)により、CIE 171:2006のテストケースに対する評価が行われています。これは照明シミュレーションソフトウェアの精度を評価するためのテストケースです。
必要なライセンス構成を知りたいのですが。
ご検討の用途によって必要な構成が異なります。評価したい対象と確認したい項目をお知らせいただければ、構成のご提案とお見積りをお出しします。
日本語サポートとトレーニング
設定から結果の妥当性の判断まで、ご相談いただけます。ハンズオン形式のトレーニングもご用意しています。
サポート →
トレーニング →
ご相談前にお知らせいただけると助かること
- 対象波長と材料
- デバイス構造とおおよその寸法
- 評価したい特性と目標値
- 既存の解析データや測定結果の有無
- 想定しているスケジュール
お伝えいただけない情報があっても構いません。差し支えのない範囲で結構です。
お手元の製品モデルで試してみてください
デモではお客様の対象に近い題材を使います。必要なライセンス構成もその場でお伝えできます。







