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メタレンズ/メタサーフェスの設計ワークフロー

数百万から数十億本のナノ構造で光を制御するメタレンズは、単位構造の厳密解析と、レンズ全体の設計・レイアウトという、スケールの異なる二つの課題を同時に解く必要があります。このページでは、単位構造の解析から製造データの受け渡しまでを、一続きの工程として整理します。

設計課題

スケールの異なる二つの問題を、往復しながら解く

単位構造(メタアトム)の応答は波長スケールの厳密な電磁場解析が必要ですが、レンズ全体は光学系としての性能で評価しなければなりません。この二つを行き来する設計データの管理が、実務上のボトルネックになります。

課題 | スケール差単位構造は波長スケール、レンズ全体はミリメートルからセンチメートルのスケールです。同じ解法で一度に扱うことはできません。
課題 | データの往復解析結果、位相ライブラリ、形状データ、光学系モデルがそれぞれ別の環境にあり、往復するたびに形式と条件の変換が必要になります。
課題 | 製造可能性設計上は成立しても、加工できる寸法に収まらなければレイアウトからやり直しになります。制約は設計の最後ではなく、割り付けの段階で効きます。

エンジニアリング要件

設計を成立させるために満たすこと

どの工程から着手する場合でも、最終的にこの五つが揃っていなければ、光学系として成立したとは言えません。

単位構造の応答精度対象波長・材料・ピッチにおける位相と透過率を、回折次数まで含めて評価できること。
位相の被覆と連続性必要な位相範囲を十分な分解能で被覆し、隣り合う構造の間で応答が急変しないこと。
レンズ全面の再現目標位相プロファイルをレンズ全面に割り付け、素子数が増えても破綻せずにレイアウトできること。
光学系としての性能単体の効率ではなく、実際の光学系に組み込んだ状態で結像性能を確認できること。
製造データの整合出力するレイアウトと寸法条件が、想定する加工方法の制約と一致していること。

設計・シミュレーションワークフロー

単位構造の解析から、製造データまで

01

ユニットセル設計条件の定義

対象波長を前提に、材料・形状・ピッチ・高さを決めます。掃引するパラメータの範囲と刻みも、この段階で定義します。

生成物 / 設計条件・掃引パラメータ

02

RCWA/FDTDによる電磁解析

周期境界のもとで、寸法ごとの複素透過係数を求めます。周期構造の掃引はRCWA、非周期な構造や近接効果の検証はFDTDが向きます。

生成物 / 寸法ごとの複素透過係数

03

位相・透過率ライブラリ構築

掃引結果を、寸法と位相・透過率の対応表としてまとめます。位相の被覆範囲と、透過率が落ちる領域をここで把握します。

生成物 / 位相・透過率ライブラリ

04

位相から形状へのマッピング

目標位相プロファイルを定義し、ライブラリを介して各位置の構造寸法に割り付けます。加工制約を外れる寸法は、この段階で候補から外します。

生成物 / 位置ごとの構造寸法マップ

05

大規模レイアウト生成

レンズ全面の構造配置を生成します。素子数が数百万から数十億に達するため、生成と検証は自動化した工程として組みます。

生成物 / レイアウトデータ(GDS)

06

光学系での検証

位相面データを光学設計環境とやり取りし、光学系に組み込んだ状態で結像性能と収差を評価します。仕様を外れた場合は目標位相の定義に戻ります。

生成物 / 光学系モデル・結像性能

07

製造データの受け渡し

レイアウトと寸法条件を製造工程に渡します。守るべき制約は加工方法によって変わるため、条件は個別に確認します。

生成物 / 製造用レイアウト・寸法条件

工程はプロジェクトにより異なります。既に位相設計やライブラリをお持ちの場合は、途中の工程から始めることもできます。

関連製品

各工程で使用する製品

製品ごとの機能と対応範囲は、それぞれの製品ページに記載しています。

Lumerical FDTD

単位構造の電磁解析を担います。RCWAソルバとFDTDソルバを備え、寸法掃引から複素透過係数の取得、位相・透過率ライブラリの生成までを扱います。

対応工程 / 02-03

Photonica Metalens Engine

ライブラリからレイアウトまでの設計ワークフローを担います。位相・透過率ライブラリを取り込み、位相から形状へのマッピング、大規模レイアウト生成、GDS出力までを扱います。

対応工程 / 03-05

Zemax OpticStudio

光学系としての検証を担います。位相面データをやり取りし、実際の光学系に組み込んだ状態で結像性能と収差を評価します。

対応工程 / 06

ファウンドリ・製造

設計データを製造につなぐ

設計工程の出力は、レンズ全面のレイアウトデータと、それを成立させる寸法条件です。製造に進む際は、この二つが加工方法の制約と一致しているかを確認する必要があります。線幅、アスペクト比、側壁角、面内均一性のうちどれが効くかは、対象波長と材料、そして選択する加工方法によって変わります。

加工方法および実施の可否は、対象波長・材料・構造寸法をもとに個別に判断します。標準化された工程があるわけではないため、設計データの受け渡し条件の整理からご相談ください。

対象波長・材料・ピッチから、ご相談ください

設計の現在地(位相設計の有無、目標仕様、製造の予定)をお知らせいただければ、適切な進め方をご提案します。