ANSYS LUMERICAL / FDTD

Lumerical STACK:多層膜の反射率・透過率設計

転送行列法により、平坦な多層膜の反射率と透過率を求めます。層数が多くても計算は瞬時に終わるため、膜厚の最適化を対話的に進められます。

転送行列法多層膜薄膜設計

多層膜内の発光を扱うSTACK解析の模式図。層内の双極子光源から放射される光の角度分布と、遠方での取り出しを示しています

概要

平坦な層構造なら、これが最も速い

層が平坦で横方向に一様であれば、電磁界は各層で解析的に扱えます。転送行列法はこの性質を使い、層ごとの行列を掛け合わせるだけで全体の応答を求めます。

数値的な近似がなく、計算量も層数に比例するだけです。反射防止膜、ミラー、バンドパスフィルタの設計では、数十層あっても膜厚の掃引が即座に終わります。

横方向のパターンがある構造には使えません。その場合は RCWA か FDTD が必要です。

平坦な多層膜構造における双極子の向き。垂直偏光と面内偏光の成分を、層構造と各軸に対して示しています

STACK の利点

平坦な層構造を前提にできることの効果

01

解析解

数値誤差の心配がなく、収束確認も不要です。

02

即時

数十層でも計算は一瞬で終わります。

03

角度・偏光

入射角と偏光ごとの応答を直接求められます。

STACK ソルバーの解析例。多層膜を積んだ円柱構造の層内にある双極子光源と、そこから放射される光の遠方場分布を並べて示しています

使いどころ

向く場合と、向かない場合

他の手法のほうが速く正確に解ける場面もあります。以下は選択の目安です。

STACK を使う

  • 層が平坦で横方向に一様
  • 反射防止膜やミラーを設計する
  • バンドパスフィルタの層構成を決める
  • 導波路の垂直方向の層構成を検討する
  • 入射角依存性を評価する

別の手法を検討する

  • 横方向にパターンがある → RCWA(周期構造)
  • 任意形状 → FDTD
  • 導波路モード → MODE

同一構造に対する STACK と FDTD の比較。層が平坦で横方向に一様な範囲では両者は一致します。

代表的な用途

どの分野で使われているか

誘電体多層膜の反射スペクトル。入射角30度におけるP偏光とS偏光の反射率の波長依存性を示しています

光学薄膜

反射防止膜、誘電体多層膜ミラー

誘電体多層膜の層構成。波長550 nmにおける各層の屈折率と、青・緑・赤それぞれの反射帯を担う層群を示しています

カラーフィルタ・波長選択フィルタ

多層膜による波長選択、反射・透過特性、カラーフィルタの設計評価

円偏光板の積層構成図。上部カバー層での円偏光の回転と、2枚の偏光層の透過軸(白矢印)および電場方向(赤矢印)、層を貫く入射光と出射光を示しています

反射防止膜・偏光フィルム

円偏光板と多層膜による外光反射の抑制

垂直共振器型レーザの構造イメージ。多層膜基板上の活性層と、上方へ放射される光を示す波状の矢印、および端面のモード分布を示しています

垂直共振器

VCSEL の DBR ミラー設計

入力と出力

何を与えると、何が得られるか

層構成と照射条件に対して、反射率・透過率や層内の電磁界が返ります。

INPUT

何を用意すればよいか

層構成各層の材料と膜厚
材料波長依存の複素屈折率
入射条件波長範囲、入射角、偏光
基板入射側と出射側の媒質

STACK

伝達行列法

OUTPUT

何が得られるか

スペクトル反射率・透過率・吸収率の波長依存性
位相反射・透過の位相
角度依存性入射角に対する応答
層内分布各層内の電界強度

解析ワークフロー

実際の進めかた

解析計算なので収束を気にする必要はありません。代わりに、平面成層で近似してよい構造かどうかの判断が結果を決めます。手順の中で最も時間を使うべきなのは 01 です。

01

層構成を定義する

各層の厚さと材料(または屈折率)を並べます。

02

波長・周波数を設定する

設定は以降のすべての解析で共通に使われます。

03

解析の種類と照射条件を選ぶ

RT(平面波の反射・透過)、Field(層内の電界分布)、Dipole(層内ダイポール放射)、Purcell(パーセル因子)から選び、入射角やダイポール位置を与えます。

04

計算する

伝達行列法による解析計算です。メッシュも収束計算も必要ありません。

05

結果を評価する

Rs・Rp・Ts・Tp、層内の電界、遠方界放射パターン、パーセル因子を取り出します。横方向に構造変化がある場合は FDTD などに切り替えます。

よくあるご質問

STACK についてよくいただく質問

導入前によくいただく質問をまとめました。

実用上の制限はありません。層数に比例して計算量が増えるだけで、数十層でも瞬時に終わります。

扱えます。複素屈折率を指定してください。

できます。ただし STACK 単体に膜厚最適化の専用機能があるわけではなく、stackrt などのスクリプトでスペクトルを計算し、パラメータ掃引や optiSLang と組み合わせて目標スペクトルに近い膜厚を探索する形になります。

横方向に一様なら STACK、周期パターンがあるなら RCWA です。RCWA でも平坦な層は扱えますが、STACK のほうが単純で高速です。

日本語サポートとトレーニング

解析設定から結果の妥当性の判断まで、ご相談いただけます。実際に操作するハンズオン形式のトレーニングもご用意しています。

ご相談前にお知らせいただけると助かること

  • 対象波長と材料
  • デバイス構造とおおよその寸法
  • 評価したい特性と目標値
  • 既存の解析データや測定結果の有無
  • 想定しているスケジュール

お伝えいただけない情報があっても構いません。差し支えのない範囲で結構です。

解きたい構造で、実際に動かしてみてください

デモではお客様の対象に近い構造を題材にします。計算規模と所要時間の目安もその場でお伝えできます。