どういう手法か
要素ごとに場を展開して、面でつなぐ
解析領域を三角形(2次元)または四面体(3次元)の非構造メッシュに分割し、各要素の内部で電場と磁場を指定した次数までの多項式に展開します。要素は形状に沿って配置できるため、曲面や斜めの界面を階段状に近似する必要がありません。
時間領域の手法で、等方性で分散性の非磁性材料に対するマクスウェル方程式を陽的に時間発展させます。周波数領域で与えられた比誘電率も扱えます。
精度はメッシュを細かくするだけでなく、多項式次数を上げることでも高められます。次数を上げれば計算量も増えるため、両者の配分が設定の要点になります。
仕組み
各要素で独立に場を近似し、界面の数値流束で結合する
不連続ガラーキン法では、場は要素ごとに独立に近似されます。各要素の内部では指定した次数の多項式で表され、隣り合う要素の近似どうしが境界面で一致するとは限りません。不連続になり得るのは数値的な表現であって、物理量そのものではありません。要素間のやりとりは、界面上の数値流束の項を通じて行われます。
この定式化のおかげで演算のほとんどが要素の内部で完結し、質量行列はブロック対角の形になります。要素ごとに逆行列を求められるため、陽的な時間発展が現実的なコストで成り立ちます。要素単位の分割は、そのまま並列計算の分割単位にもなります。
この手法の強み
この手法が選ばれる理由
形状への追随
非構造メッシュは任意の形状に合わせて配置できるため、曲面や斜めの界面を形状どおりに表現できます。
高次の精度
高次の基底関数と非構造メッシュにより、空間と時間の離散化を高い次数で行えます。ただしこれは、FDTDより常に精度が高い、あるいは速いという意味ではありません。手法の選択は形状の忠実度とメッシュ生成・計算のコストの釣り合いで決まります。
並列化との相性
演算が要素の内部で完結し、結合が面だけに限られるため、要素単位の領域分割による並列計算に適します。
使いどころ
向く場合と、向かない場合
向いている場面
→ 形状が直交格子に沿わず、曲面や斜めの界面が特性を左右するとき
→ 金属ナノ構造の共鳴波長やQ値、モード分布を時間領域の計算から求めたいとき
→ 吸収した光パワーの分布を、熱解析の熱源として渡したいとき
→ 細かい一様なメッシュではなく、粗いメッシュと高い多項式次数で精度を確保したいとき
別の手法が適している場面
直交格子に素直に沿う形状:形状が直交格子に沿うなら、非構造メッシュの利点は生かせません。手法の選択は、形状の忠実度と非構造メッシュを使うコストの釣り合いで決まります。
異方性や磁性を含む媒質:この手法について文書化されている対象材料は、等方性で分散性の非磁性材料です。異方性や磁性を含む媒質は対象外です。
導波路の断面モード:伝搬方向に一様な構造のモードを求めるなら、断面の2次元固有値問題を解く手法が目的に合います。
平面波とガウシアンビーム以外での励振:製品リファレンスに挙がっている光源は平面波とガウシアンビームです。ほかの励振が要る場合は、光源の種類が多い手法を検討します。
適用対象
代表的な適用対象
プラズモニック共振器
金属ナノ構造の共鳴波長とQ値、モード分布を時間領域の計算から求めます。
回折格子
非構造メッシュの上で回折格子を解き、回折次数への投影から効率を求めます。
光による発熱
吸収モニタで求めた吸収パワーの分布を熱源として、温度分布の解析につなげます。
微粒子の散乱
球や微粒子からの散乱断面積と吸収断面積を求めます。
入力と出力
何を与えると、何が得られるか
INPUT
| 構造 | 基本形状の組み合わせ、レイヤービルダー、データセットビルダー、数式による定義 |
|---|---|
| 材料 | 等方性で分散性の非磁性材料。プラズマ(ドルーデ)、デバイ、ローレンツの各モデルと、実測の(n,k)データへの自動フィッティング |
| メッシュと次数 | 波長あたりの要素数と基底関数の多項式次数。既定では材料ごとに最短波長あたり約2要素です |
| 光源と境界条件 | 平面波またはガウシアンビーム。PML、吸収、周期、PEC、PMCの各境界条件 |
OUTPUT
| 電磁界分布 | 周波数モニタと時間モニタによる、メッシュ上での電磁界 |
|---|---|
| 吸収パワー | 吸収モニタによる吸収パワーの分布。熱解析の熱源として渡せます |
| 断面積と共鳴特性 | 消光・散乱・吸収の各断面積と、時間領域の波形から取り出す共鳴波長やQ値 |
| 遠方界・回折次数 | 近傍界からの遠方界投影と、周期構造に対する回折次数への投影 |
進めかた
実際の進めかた
材料を定義する
解析で使う材料を並べ、光学・電気・熱の各特性を与えます。
形状を作り、材料を割り当てる
幾何オブジェクトを作成し、定義済みの材料を割り当てます。非構造メッシュの利点が出るのは、曲面や斜面を含む構造です。
解析領域とソルバーを置き、メッシュを決める
解析の範囲を決めてソルバーを追加し、波長あたりの要素数と多項式次数で精度と計算量の配分を決めます。
光源・モニタ・境界条件を設定して実行する
ソルバー固有のオブジェクトを配置し、エラーと警告を確認してから実行して、返された結果を評価します。
有限要素系の解析は、FDTDやMODEとは設定の流れがかなり異なるとされています。既定のメッシュは材料ごとに最短波長あたり約2要素で、多くの場合は領域や面を指定した細分化が必要です。
関連手法との比較
関連する解析手法との使い分け
| 手法 | 関係 | 主な対象 | 使い分け |
|---|---|---|---|
| DGTD(本手法) | 本手法 | 曲面や斜めの界面を含む構造 | 非構造メッシュと高次の基底関数で形状を表し、時間領域でマクスウェル方程式を解きます。 |
| FDTD | 代替 | 直交格子に沿う形状 | 同じ時間領域でも直交格子を使います。精度は波長あたりの点数で決まり、こちらは多項式次数でも制御します。どちらが常に優れるという関係ではありません。 |
| FEEM | 補完 | 伝搬方向に一様な導波路の断面 | 同じ有限要素系ですが、断面の2次元固有値問題を解いてモードを返します。 |
| RCWA | 代替 | 層状で面内に周期性のある構造 | 周期性を前提にできる構造に特化した半解析的な手法で、目的が回折効率なら計算時間の面で有利です。 |
| STACK | 代替 | 層構造だけで完結する反射・透過 | 解析的な手法で、平面多層の反射・透過はこれで完結します。 |
対応製品
この手法を提供する製品
不連続ガラーキン時間領域法による電磁場解析を提供する商用ソフトウェア環境です。導波路のモード解析、電荷輸送、熱輸送、多重量子井戸の各ソルバーを同じ環境に備え、解析どうしを組み合わせられます。ライセンス、動作環境、導入についてはこちらをご覧ください。
Lumerical Multiphysics
FAQ
よくある質問
曲面形状を含む電磁場解析から、ご相談いただけます
対象の形状と評価したい特性をお知らせいただければ、適切な手法と製品をご提案します。
