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解析技術 | 光学設計

光学最適化(Optical Optimization)

設計の要求をメリット関数という1つの数値にまとめ、指定した変数を動かしてその値を下げる設計機能です。光線追跡と各種解析の結果を評価しながら、設計を目標に近づけます。

位置づけ

メリット関数を下げる設計機能

主なアルゴリズム

減衰最小二乗法と直交降下法

対応製品

Ansys Zemax OpticStudio

設計変数を動かしながらメリット関数の値が下がり、局所的な谷に収束していく様子を示す図

どういう手法か

目標を数値にして、変数を動かす

OpticStudioの最適化には、3つの前提が要ります。光線追跡ができる妥当な系があること、変数が指定されていること、そしてメリット関数があることです。この3つがそろってはじめて動きます。

メリット関数は、光学系が定めた目標にどれだけ近いかを表す数値です。各オペランドの実際の値と目標値の差の2乗を重み付きで足し、その平方根に比例する量として定義されています。オペランドは、収差、MTF、点像分布、包含エネルギー、実光線や近軸光線の量、レンズデータの制約など、多くの分類に分かれています。

変数は、変数の解を該当するセルに置くことで指定します。対象になるのは、曲率、厚み、ガラス、円錐定数、パラメータデータ、拡張データ、そしてマルチコンフィギュレーションの数値データです。

仕組み

メリット関数を評価しながら、変数を探索する

局所最適化では、2つのアルゴリズムが選べます。減衰最小二乗法は、メリット関数の数値微分から、値がより低くなる方向を求めます。直交降下法は、変数を直交化して解空間を離散的に標本化することで値を下げます。後者は数値微分を計算しないため、メリット関数にノイズが多く精度が低い場合に有利です。

局所最適化が探すのは局所的な最小です。設計形態そのものを変える必要がある場合には、広い探索が用意されています。この探索は、定めた範囲でさまざまな組み合わせを作って評価し、上位の候補を保存します。似すぎた設計を退けて多様性を保つ仕組みももっています。この段階が力を割くのは有望な設計形態を見つけることであり、それぞれの形態について最良の解へ正確に収束させる作業は、別のアルゴリズムが受け持ちます。

メリット関数各オペランドの実際値と目標値の差の2乗を重み付きで足し、その平方根に比例する量です。ウィザードで既定の関数を作り、必要なオペランドを加えます。
変数変数にしたいセルに変数の解を置きます。曲率、厚み、ガラス、円錐定数、パラメータデータ、拡張データ、マルチコンフィギュレーションの数値データが対象です。
局所の探索減衰最小二乗法または直交降下法で、局所的な最小へ向かって変数を動かします。
形態の探索定めた範囲で多様な設計を作って評価し、上位の候補を保存します。そのあと、選んだ候補を詰める段階へ進みます。

この手法の強み

この手法が選ばれる理由

多数の要求を1つの尺度にまとめられる

収差、結像性能、幾何的な制約、コーティングや偏光の量まで、異なる種類の要求を重み付きのオペランドとして同じ関数に入れられます。

用途に応じてアルゴリズムを選べる

数値微分で降下方向を決める手法と、微分を使わずに直交化と離散的な標本化で下げる手法があります。後者は、検出器の画素に由来してメリット関数が不連続になる照明系の設計では、こちらが有利です。

形態の探索まで手順がある

局所的な収束だけでなく、有望な設計形態を広く集める探索と、そこから1つか2つを選んで詰める段階が用意されています。ガラスの入れ替えのような離散的な変数もこの段階で扱われます。

使いどころ

向く場合と、向かない場合

向いている場面

→ 妥当な出発点があり、収差や結像性能を目標に近づけたいとき

→ 複数の要求を重み付きでまとめ、折り合いをつけたいとき

→ 空間周波数を指定して、結像のコントラストを目標に設計したいとき

→ 照明系のように、検出器上の分布を目標に形状を決めたいとき

→ 設計形態そのものを見直すために、候補を広く集めたいとき

別の手法が適している場面

製造ばらつきの影響を知りたいとき:この機能は設計変数を動かして名目の設計を良くするものです。加工や組み立てのばらつきが性能をどれだけ落とすかを知り、許容できる範囲を求めるのは公差解析の役割です。ただし公差解析の中で補正要素の最適な値を決める際には、この機能が使われます。

最適性の保証が要るとき:広い探索がそれ単独で大域最適解を見つけることは、まれです。また、局所的な最小に達したあとで、より低い最小が他にないかを一般の最適化問題について判定する既知の方法はありません。この機能は探索であり、最適性を保証するものではありません。

出発点が妥当でないとき:局所最適化は、光線追跡ができる妥当な出発点があってはじめて働きます。面の枚数や絞りの位置、初期のガラスが決まっていない段階では、まず設計の骨格を決める必要があります。

メリット関数が要求を表していないとき:収束した結果はメリット関数が表しているものにすぎません。境界条件を与えないと、製造できない厚みや曲率に収束することがあります。

適用対象

代表的な適用対象

結像レンズの設計

単レンズから多群のレンズまで、点像半径や波面を評価基準に設計を詰めます。

コントラストを目標にした設計

目的の空間周波数を指定し、波面の差を目標に近づけることで結像のコントラストを改善します。

照明系の最適化

検出器上の分布を評価するオペランドを使い、数値微分を使わない手法で形状を決めます。

ガラスの入れ替え

置き換え対象に指定したガラスをカタログから入れ替えながら、広い探索で組み合わせを探します。

入力と出力

何を与えると、何が得られるか

INPUT

出発点の系 光線追跡ができる状態の設計データと、視野、波長
変数 変数の解を置いたセル。曲率、厚み、ガラス、円錐定数、パラメータデータ、拡張データ、マルチコンフィギュレーションの数値データ
メリット関数 ウィザードで作る既定の関数(種類、評価基準、基準点、瞳の積分方法)と、手で加えるオペランド、目標値、重み
境界条件 ガラスと空気の厚みの上下限、および上限・下限・目標値を与える境界オペランド
実行条件 アルゴリズムの選択、サイクル数、使用するコア数

OUTPUT

更新された設計 変数の値が更新された設計データ
メリット関数の値 実行中の推移と、最終的な値
候補設計 広い探索では、保存する本数を指定して上位の候補が個別のファイルとして残ります
再評価の結果 更新された設計に対する、点像や結像性能、波面、透過率などの通常の解析結果

進めかた

実際の進めかた

01

変数を指定する

自由度にしたいセルに変数の解を置きます。曲率や厚みから始め、必要に応じて円錐定数やパラメータデータへ広げます。

02

メリット関数を作る

ウィザードで既定の関数を作り、種類、評価基準、基準点、瞳の積分方法を選びます。ガラスと空気の厚みの境界値もここで与えます。

03

局所最適化を回す

アルゴリズムとサイクル数を選んで実行します。自動を選ぶと、進展がなくなるまで続けます。

04

必要なら形態を探索する

設計形態そのものを変えたい場合やガラスを入れ替える場合は、広い探索で候補を集め、有望なものを詰める段階へ進みます。

結果を決めるのはメリット関数の作りかたです。境界条件を与えないと、製造できない形状に収束することがあります。ガラスの入れ替えを含める場合は、ガラスが替わるたびにメリット関数の値が不連続に飛ぶため、局所最適化ではなく広い探索を使ってください。

関連手法との関係

関連する解析手法との役割分担・連成

手法 関係 主な対象 使い分け
光学最適化(本手法) 本手法 名目設計を目標に近づける メリット関数を作り、指定した変数を動かしてその値を下げます。局所的な収束と、設計形態の探索の2段階があります。
シーケンシャル光線追跡 前段 評価そのもの メリット関数の中身は、この追跡から得られる量です。追跡できる系であることが前提になります。
公差解析 後段 製造ばらつきへの耐性 設計が固まったあと、加工と組み立てのばらつきを与えて性能の劣化を評価し、許容できる範囲を求めます。補正要素の値の決定にはこの機能が使われます。
ノンシーケンシャル光線追跡 補完 照明系や迷光を含む系 検出器上の分布を評価する系では、こちらの追跡結果をオペランドにして最適化します。

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対応製品

この手法を提供する製品

結像、照明、レーザー系の設計と解析に使われる商用ソフトウェアです。メリット関数にもとづく最適化に加えて、光線追跡、結像性能の評価、公差解析を同じ環境に備えます。ライセンス、動作環境、導入についてはこちらをご覧ください。

Ansys Zemax OpticStudio

製品ページを見る →

FAQ

よくある質問

2つのアルゴリズムはどう使い分けますか。減衰最小二乗法はメリット関数の数値微分から降下方向を求める手法で、結像系では一般にこちらが推奨されています。直交降下法は変数を直交化して解空間を離散的に標本化する手法で、数値微分を計算しません。検出器の画素に由来してメリット関数が不連続になる場面では、こちらが有利です。
大域最適解は得られますか。保証されません。広い探索がそれ単独で大域最適解を見つけることはまれです。また、局所的な最小に達したあとで、より低い最小が他にないかを一般の最適化問題について判定する既知の方法はありません。実務では、候補を広く集めてから1つか2つを詰めます。
公差解析とはどう違いますか。目的が違います。この機能は設計変数を動かして名目の設計を良くします。公差解析は、加工や組み立てのばらつきの範囲を与えて性能の劣化を評価し、許容できる公差を求めます。両者は別の作業ですが、公差解析の中で補正要素の最適な値を求める際には、この機能が使われます。
何を変数にできますか。曲率、厚み、ガラス、円錐定数、パラメータデータ、拡張データ、そしてマルチコンフィギュレーションの数値データです。変数にしたいセルに変数の解を置くことで指定します。コーティングの層の係数や屈折率の補正値も、境界オペランドで制約できます。

参考情報

最終更新日

2026-08-19

技術監修

LightBridgeテクニカルサポート

参照した資料

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