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解析技術 | 導波路・伝搬解析

varFDTD(2.5D変分FDTD法)

平面型の光回路について、垂直方向のスラブモードを使って構造を有効な2次元の物性に縮約し、2次元FDTDで平面内の伝搬を解く手法です。

離散化

平面内の直交格子と時間刻み

解く問題

有効2D物性に縮約した2次元FDTD

対応製品

Lumerical MODE

積層構造の垂直方向を有効な2次元の物性に縮約し、平面内の2次元格子で伝搬を解く様子を示す図

どういう手法か

垂直方向をたたみ込み、平面内を時間領域で解く

varFDTDは、平面型の集積光学系における光の伝搬を扱います。リッジ導波路の系から、フォトニック結晶のような複雑な形状までが対象です。伝搬軸を仮定せず、平面内を全方位に伝搬させられる点が特徴です。

計算は3つの段階で進みます。まず、対象とする波長範囲でコア構造の垂直方向のスラブモードを求めます。次に構造をメッシュに切り、スラブモードの分布を考慮して各点の積層構造を有効な2次元の物性に置き換え、垂直方向の自由度を縮約します。最後に、その2次元構造を2次元FDTDで解きます。必要なら場を3次元に展開し直すこともできます。

MODEは、この縮約に複数の方法を用意しています。変分法にもとづく方法と、相反定理にもとづく方法が選べます。どちらも材料分散と導波路分散を含む分散性の実効材料を作り、時間領域計算で使える材料モデルに当てはめます。手法名は変分法に由来しますが、縮約の手続きは変分法だけに限られません。

仕組み

垂直方向を有効2D物性へ縮約し、2次元FDTDで時間発展させる

この手法の中心にあるのは、垂直方向の場の形をあらかじめ1つに決めてしまうという近似です。基準となるスラブモードの分布を固定し、その分布で重みをつけた積分によって、各点の積層構造を1つの有効な誘電率に置き換えます。垂直方向の自由度は解かれるのではなく、縮約されます。縮約された2次元構造は、通常の2次元FDTDと同じ格子と時間刻みで解きます。

この手法の主な仮定は、支持される複数のスラブモードの間に結合がほとんどないことです。垂直方向に2つのモードしか支えないSOIのようなスラブ構造では、これは非常によい仮定になります。逆に、垂直方向の結合や放射が効く場面では、この仮定が結果に系統的な差として現れます。3次元FDTDと同等の結果が得られるわけではありません。

スラブモードの特定コア構造の垂直方向のスラブモードを、対象の波長範囲で求めます。基準にする点と偏光を指定します。
有効2D物性への縮約基準スラブモードの分布で重みをつけ、各点の積層構造を有効な2次元の物性に置き換えます。MODEは変分法にもとづく方法と相反定理にもとづく方法を備えています。
2次元FDTDでの時間発展縮約した2次元構造を、直交格子と時間刻みで2次元FDTDとして解きます。伝搬軸は仮定しません。
実効材料の確認縮約の結果、物理的でない屈折率が生じることがあります。元の材料の範囲に制限するオプションが用意されています。

この手法の強み

この手法が選ばれる理由

平面内を伝搬軸なしで扱える

光軸についての仮定を置かずに、平面内の全方位の伝搬を扱えます。リング共振器やフォトニック結晶共振器のように、光が回り込む構造も対象になります。

大きな平面レイアウトを扱える

3次元の形状を有効な2次元の物性に縮約するため、計算量は2次元の規模に収まります。数百マイクロメートル規模の素子を短時間で扱えます。

スラブの物理を保つ

スラブ内の群屈折率を正しく扱え、近傍界から遠方界への変換にはスラブ内の伝搬に適した関数が使われます。広い解析領域を取らずに、導波モードの回折を調べられます。

使いどころ

向く場合と、向かない場合

向いている場面

→ リング共振器やフォトニック結晶のように、平面内を光が回り込む構造を扱いたいとき

→ 数百マイクロメートル規模の平面レイアウトを、現実的な時間で評価したいとき

→ 広い波長範囲のスペクトルを一度の計算で得たいとき

→ 設計パラメータを振って傾向をつかみ、形状を絞り込みたいとき

→ スラブ内の回折や、導波路から広がる光の振る舞いを見たいとき

別の手法が適している場面

垂直方向の結合や放射が効く構造:垂直方向の結合をないものとして扱うため、結合効率は過大に出ます。垂直方向の損失も含まないため、スペクトルのピークは3次元の計算より高く出ます。リング共振器の比較では、この差が実際に現れます。

最終的な精度が必要な段階:この手法は、設計パラメータの影響を調べる段階と最適化に向いています。結果の検証と最終的な精度の確保には、より時間のかかる3次元の時間領域計算や固有モード展開法を使います。

平面型でない構造:この手法は、垂直方向に押し出された平面型の構造を前提にしています。垂直方向に形が大きく変わる構造や、スラブモードどうしの結合が無視できない構造には向きません。

長い素子の長さ掃引:テーパのように伝搬方向へ緩やかに形が変わる素子の長さを振る場合は、長さの変更に追加費用がほとんどかからない固有モード展開法のほうが効率的です。

適用対象

代表的な適用対象

リング共振器の設計

自由スペクトル領域や共振の傾向を短時間で調べ、寸法を絞り込みます。垂直方向の結合を含まないため、最終値は3次元の計算で確認します。

アレイ導波路回折格子とスターカプラ

スラブ領域の回折を含めて、波長ごとの分配と位相を評価します。

フォトニック結晶導波路

線欠陥導波路のバンド構造や伝搬の様子を調べます。

大規模な平面レイアウトの評価

3次元の時間領域計算では扱いにくい規模の平面回路を、2次元の計算量で評価します。

入力と出力

何を与えると、何が得られるか

INPUT

平面構造 垂直方向に押し出された形状で作られた平面型の光回路
スラブモードの基準 実効屈折率を求める基準点の座標と、スラブモードの偏光
縮約の方法 変分法にもとづく方法、または相反定理にもとづく方法
帯域の扱い 中心周波数だけを使う設定と、分散性の実効材料を作る広帯域の設定
メッシュと境界条件 格子の細かさ、時間刻みの安定係数、PMLなどの境界条件
光源とモニタ モードソースの波長範囲と入射モード、各種モニタの配置

OUTPUT

透過と反射 周波数領域のパワーモニタによる透過・反射スペクトル
場の分布 断面のプロファイルモニタと時間モニタによる場の分布と時間波形
実効屈折率 実効屈折率モニタが返す、周波数の関数としての実効屈折率
モード展開の結果 モード展開モニタによる、各モードへの透過成分
遠方界 スラブ内の伝搬に適した近傍界から遠方界への変換の結果

進めかた

実際の進めかた

01

平面構造を作る

垂直方向に押し出された形状で平面型の回路を作り、材料を割り当てます。

02

スラブモードの基準を決める

解析領域を置き、実効屈折率を求める基準点をコアの上に置いて、スラブモードの偏光と実効屈折率の方法を選びます。

03

帯域とメッシュを設定する

中心周波数だけを使うか、分散性の実効材料を作るかを決め、格子の細かさを設定します。作られた実効材料が物理的な範囲に収まっているかを確認します。

04

計算して収束を確かめる

場が十分に減衰する計算時間をとって解き、格子と設定を変えて結果が動かないことを確かめます。

周波数領域のモニタの結果は、場が十分に減衰する前に計算を打ち切ると正しくありません。計算時間を長めにとってください。収束確認は、この手法と3次元の時間領域計算の両方について必要です。設計を絞り込んだあとは、3次元の計算で検証してください。

関連手法との比較

関連する解析手法との使い分け

手法 関係 主な対象 使い分け
varFDTD(本手法) 本手法 平面型の広い構造 垂直方向を有効な2次元の物性に縮約し、2次元FDTDで平面内の伝搬を解きます。伝搬軸を仮定しません。
FDTD 補完 垂直方向の結合や放射を含む評価 解析領域を体積として離散化します。垂直方向の損失を含むため、比較例ではピークが低く、共振波長も異なります。最終確認に使います。
EME 代替 伝搬方向に緩やかに形が変わる長い素子 断面のモードを基底に散乱行列を連結します。長さの掃引に強く、広帯域の結果はこの手法のほうが得やすいという役割分担があります。
FDE 前段 断面のモードそのもの 断面の固有値問題を解いてモードを求めます。入射モードの決定や、実効屈折率の確認に使います。

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対応製品

この手法を提供する製品

導波路と光結合の解析に向けた商用ソフトウェア環境です。2.5D変分FDTD法に加えて、有限差分固有モード解析と固有モード展開法のソルバーを同じ環境に備え、断面のモードから平面回路全体の伝搬までを続けて扱えます。ライセンス、動作環境、導入についてはこちらをご覧ください。

FAQ

よくある質問

3次元の時間領域計算と同じ結果になりますか。なりません。リング共振器の比較例では、自由スペクトル領域は一致し傾向も同じですが、ピークの高さと波長がずれます。垂直方向の結合をないものとして扱うため結合効率が過大になり、垂直方向の損失を含まないためピークが高く出るためです。設計の探索に使い、最終確認は3次元の計算で行ってください。
どのくらい速いのですか。構造によります。数値が確認できているのはリング共振器の例のみで、その条件では必要メモリが15分の1以下、計算時間が100分の1以下でした。一般に成り立つ倍率ではないため、対象ごとに確かめてください。
どんな構造に向きませんか。垂直方向に形が大きく変わる構造や、複数のスラブモードの結合が無視できない構造です。この手法の主な仮定は、支持されるスラブモード間の結合がほとんどないことだからです。
実効屈折率の方法は2つのうちどちらを選べばよいですか。MODEには変分法にもとづく方法と相反定理にもとづく方法があり、どちらも材料分散と導波路分散を含む分散性の実効材料を作ります。一律の選択基準はないため、両方で計算して差を確認するのが確実です。

参考情報

最終更新日

2026-08-19

技術監修

LightBridgeテクニカルサポート

参照した資料

Ansys Optics: MODE – 2.5D varFDTD solver introductionAnsys Optics: varFDTD solver – Simulation objectAnsys Optics: My First Simulation – Ring Resonator – Comparison to 3D FDTDAnsys Optics: Ring resonator getting started – Design and initial simulationAnsys Optics: Curved waveguide taper (varFDTD and FDTD)Ansys Optics: Arrayed waveguide grating (AWG)Ansys Optics: Effective index monitor – Simulation objectAnsys Optics: MODE product reference manual

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